S.Saeki(id:S-Saeki) のオリジナルシナリオばなし

【その1 主人公と冒頭部】

 どうも、S.Saeki と言います。シナリオをいくつか作っていたりいなかったりする人間です。
 最近どうもそのシナリオも低調で、新しいことでもしたいと思っていたら三笠氏から「ちゃんとヤる気あるなら何を入れてもオッケーよ☆」とのお言葉を貰ったり貰わなかったり、まぁヘタクソでもともと投稿してみようかと思いました。
 オリジナルシナリオを題材にベラベラとたわ言を喋るつもりで上のタイトルです。


 今回は、ついさっきプレイした『機神セント=レメシアル』について。

 このシナリオの第一話は、ナレーションによるおおまかな世界設定についての説明と、謎の女の子による回想から始まります。

 「地球が一つの連邦となって200年が経った
  人類は火星にまで都市を創ったが、資源、環境汚染、人口増加…
  人類は不安を抱えつつ、発展するよりなかった
  しかしロストテック(古代超技術)によってそれは一変した
  外宇宙、不老、新エネルギー……それは夢のようだった」

 ナレーションをする人って誰でしょうか、そこには二人のパターンがあります。ナレーターと呼ばれる独立した無個性の存在、あるいはその作品の登場人物です。無個性だと思っていたナレーションが、実は意外な人物のモノローグであったなんて使い方もありますけれど。佐藤司氏の『スーパーロボット大戦R-Evolution』とか。
 「不安を抱えつつ、発展するよりなかった」「夢のようだった」という主観的な言い方には、この言葉の向こう側に誰かがいることをのぞき見させ、そのナレーションを繋ぐように登場した女の子は全てがわかった現在に立ち尽くし、これまで体験してきた過去を振り返ろうとしています。
 ここまでのシーンのすべてが、彼女のためにあったのではないかとも思わせるのです。

 さて、実際にプレイした人にはおわかりかと思いますが、この作品には主人公が別に存在します。ロボットに乗り、世界の異変に立ち向かってゆくべき人物が。しかし、話は最初の女の子を中心に推移してゆく。というより主人公であるべきもう一人の少女の見せ場が一つもないのです。

 ミドリ「セーファー……起きてるかな?(ドアを叩く)」
 セーファー「はーい」
 ミドリ「おはよう、セーファー!」

 これが、ミドリというこの主人公の登場シーンです。彼女が一人で何かをするような、そういうシーンがない状態で。それまでのシーンが彼女に返事をするセーファー(冒頭で回想していた謎の少女)のためにあって、プレイ側はセーファーの方をよく知っています。ミドリは、セーファーに対するサブキャラの位置におさまってしまっているのです。不幸にもこの構図は第一話が終わる直前まで続きます。敵が何故登場するのか、戦わなければいけないのか、ピンチに陥ったら何をするのか、すべてはゼーファーが思考し、判断し、決定します。ミドリという主人公は主人公でありながら状況に流され、言われたことを精一杯に頑張ってはいるのですが、自分から何かやりたいという主体性には、見せ場がないためにどうしても乏しく見えてしまう。
 と言って、ではこれまでの印象は私の錯覚で、メインパイロットではないけれどセーファーが話の中心なんじゃないかという推測もできるのですが、

 ミドリ「実はこの時、あたしはもう戻れないと感じた
     明らかにアンノウンらしい機体……それを知るセーファー……
     運命の輪が、回り始めたんだ
     そう、これが長い旅のはじまりだったんだ……」

 と、最後に独白するのはミドリなのです。冒頭のトリを任される! という人物を、主人公と言わずして何に例えるのか。しかしこの少女をそう認めるにはプレイ側の多少の好意的解釈が必要であり、それはそれまでの展開によるものなのです。
 今後どのようにミドリは主人公になるのか、はたまたセーファーにとって変わられるのでしょうか。冒頭と主人公をどのように絡めるか、それを誤ってしまったため、主人公の意味を改めて二話以降に問わねばいけなくなってしまったと言えるのではないでしょうか。


 という感じなんですが。これを読んだ人はどう思うんでしょうね。屁理屈ばかりなのか芝居が過ぎるのか、わかりませんが。感想とか、ここを直せとか、俺が本当のウケを教えてやるとか、そういう返答をつらつらと募集しています。
 それでは。