S.Saeki(id:S-Saeki) のオリジナルシナリオばなし

【その3 何故にあなたはそれをするか】

 S.Saeki です。何か三笠氏からは日本シリーズが散々だったせいか「キリキリ書かないと泣かすわよ!」というようなニュアンスで問い詰められました。私以外の方に投稿していただけると私の負担が少なくなります。落ちてくる壁を支えている間にこの部屋を進んでください。私はどこに話しかけてますか。

 今回は、ついさっきプレイした『勇者聖凰ブレイガード』について。

一人の女子高生…真田聖がひょんな事から
巨大ロボットの戦いに関っていく事になる
そんなお話です

戦闘時、ステータスで各ユニットの全身画像が見れます
(GSCシナリオリンクより紹介を抜粋)


 現代を舞台としたロボット作品では、どのように機体を登場させ、そして人物を乗せるかという展開に大きなウエイトが置かれます。例えば前回取り上げた『AngelicLullaby』では敵に家族を殺され倒すべき相手に対しての憎しみが強い、ということでパイロットに選ばれますし、一方『機神セント=レシメアル』では友人がプレゼントしてくれて(というと語弊があるかもしれませんが)ロボットに乗り込みます。
 ただこれらの作品はその乗り込むまでが、割と一本道で展開が示されていたことに比べ、当作品はロボットに乗るまでの過程に力を入れて描かれています。冒頭で石集めが趣味の主人公・真田聖が拾った綺麗な石が、実は何かの卵であるとわかるのですが……

Talk 七箕怜治
そうだ…オマエあの卵どうすんだ?
Talk 真田聖
孵化させるわ
Talk 佐上翔子(疑問)
え?
Talk 七箕怜治

Talk 七箕怜治(笑い)
ハッハッハ!
そうかそうか!
オマエらしいな、ハッハッハ!


 この経過を経て誕生した鳥・ブレイが、彼女の乗るロボットとなるわけです。
 ある意味で力技なこの展開を、成立させるために取られている方法は二つあります。一つは絵の自作。その絵が小物類にも及んでいて、このシーンで重要な役割を示す拾った卵(石)のカットインも、ちゃんと存在していること。
 もう一つはその自作のパイロット表情をめいっぱいに生かし、このシーンまででコメディタッチの物語を進めてきたことです。場所を変え時間を変えて長々とおこなわれる登場人物の漫才を通ることで、聖の台詞もそれまでの延長線上にとらえさせています。卵を孵化させてみるというのも彼女「らしい」行動であり、性格をふりかえればそこまで突飛な行動にはなっていないのです。

 これは別の言い方をすれば、この作品は第一話の段階で物語の雰囲気がすでに形成されていることになります。
 物語の「なぜ?」を解消する方法は、作り上げた雰囲気から逸脱しないことではないでしょうか。SRCは台詞中心のため人物同士のかけあいがとても重要視されていますが、その使い方を考えるとき、この作品は一つの参考になるでしょう。


書いた人:S.Saekiid:S-Saeki)