スーパーロボット大戦R−Evolution by アージュさん(id:arsyu)

三笠の人からレビュー希望カテゴリのレビューしてみないかと誘われて、
どうやらクロスレビュー黒歴史として闇に葬られるらしいので
折角だから二年前に書いた文章だけどそれでも投げて良いかと聞いたら
OK貰ったので、投稿してみる、そんな感じ。
もともとクロレビの一部になること前提だったので、
単体だと結局何が言いたいのかよく分からんかも知れませんが。

これは、想い人と死に別れたものが
彷徨の末、想い人と出会い
そのついでに世界を変える物語である。
そこには、思慕の情だけがあった。


シナリオ紹介文にもある上記の文章が使われる場面、
そこが自分にとってこのシナリオが最も盛り上がった瞬間だった。
それまでに描かれてきた主人公シャルロットとエンディミオンの交流。
そしてデュミナスをはじめとするシナリオのバックボーンの設定と
壮大なスケールでの時間の流れ、それらが結びついて提示されるひとつの『答え』。
上記の文章の本来の意味が分った時、言いようのない感動と衝撃を覚えた。


Rの翻案シナリオとして見ても、原作の設定を利用しつつも、独自解釈を上手く取り込み、
全く新しい物語を構築しているのは、まさにSRCならではと言える所だろう。


しかし、このシーン以降、時間、空間的によりスケールが広がっていく怒濤の展開とはなるが、
ある意味『いつもの司シナリオ』で言い表せるものでもあり、
過去に残ったシャアの役割など伏線の使い方に上手いと感じた部分はあっても
結局最後までプレイし終えても、結局これ以降の物語の中で
あの瞬間を越える盛り上がりには遭遇できず、
自分にとっては尻すぼみな展開に感じてしまう事は避けられなかった。


また、シナリオ全般に関して言うと、シナリオとテーマの焦点を絞る為とはいえ、
主人公と一部のキャラクターを除くと、単に物語を進める為の駒や、
いわゆる「いるだけ参戦」と感じられてしまうキャラクターが多いのが勿体なく感じられた。
アムロとユリカの関係などクロスオーバーとしての設定の妙こそあるが
結局その設定の提示にほぼ留まっており、その設定があるからこそ描けているというものがない。


戦闘に関しては、援護の活用と、引や吹による援護陣形の崩しが重視された
独自バランスは工夫されているものと言えるが、シナリオ展開において
プレーヤーのモチベーションを高めるような戦闘の位置付けはされておらず、
戦闘がゲーム的な障害以外の意味を持たないことが多かった。
特に13話は敵の技術革新を示す為とはいえ、全般に敵が固く
倒すのに時間がかかるストレスの溜りやすい戦闘であり、
シナリオ的にそれまでの流れと一旦断ち切られて、操作キャラも入れ替わっている事もあって、
プレーヤー側に「その戦闘に勝ちたい」と思わせるようなストーリー上の動機付けがなく、
結果として作業感の強い面倒なだけの戦闘と感じさせることになっている。
逆にシャアとの決着などはストーリー的に盛り上がるはずの部分であるにも関わらず、
戦闘面ではシャアがボスとしてあまりに弱く、あっさり倒せてしまうため拍子抜けさせられてしまう。


たとえストーリーがメインのシナリオであっても、戦闘もシナリオの重要な要素であるのだから、
その戦闘の位置付けや難易度をよりストーリーに沿ったものとすることで
シナリオへのプレーヤーの感情移入度を増す努力をおざなりにしないで欲しい。


このシナリオもストーリーと構成において非常に優れたシナリオの一つであるとは思うが、
もう一歩進んでストーリーとキャラクター描写そして戦闘、
それらがより高い完成度で結実したシナリオを1ファンとしては司さんには期待したい。
それがLeafFight2001かミルキーウェイ物語の更新分であれば、個人的には何より嬉しいのだけれど(笑)


書いた人:アージュid:arsyu)