S.Saeki(id:S-Saeki) のオリジナルシナリオばなし

【その4 キャッチフレーズ】

 S.Saeki です。ちょっといろいろと忙しくて今週は投稿できるのかなーと思っていたのですが、三笠氏が窓の向こうでムチを振り回し立っていますので何とかかんとか頑張りました。何て恐ろしい。

 今回は、ついさっきプレイした『豪華巨兵ゴージャスダー』について。

豪華なものが大好きな男子学生と、
大きいロボットのお話です。
全二話で完結してます。

(GSCシナリオリンクより紹介を抜粋)

 タイトルからして一発ネタのただよう当作品です。作者の方でも理解して作って、むしろその範囲内で遊んでいるような。「ゴージャス」という言葉を用いてコミカルな第一話を仕上げています。
 このフレーズにはどこか成金趣味のような意味合いが含まれていて、私達は悪い方向にとらえがちの言葉です。が、ゴージャスダーでは「ゴージャス」を精神的な充足としての意味で用いることでプラスの意味合いを付加させています。一般のイメージを逆手にとり、その作品における独自の言葉としているのです。
 一つの言葉にこだわる場合、作品の雰囲気はどうしてもコミカルなものになってしまいます。けれどその分キャラクターの性格を形成する上ではとても便利です。その人物の行動をフレーズに収束させることができるからです。展開に迷ったときに場を繋ぐことにも使えます。
 そうやって話を続けてゆく中で、その一つの言葉に盛り込まれる意味が増えてゆきます。敵を憎んで「許せない」というのとお茶が熱すぎて「許せない」というのがまるで違うように、シリアスにもギャグにも応えるうちに複雑な意味を内包した言葉へと成長してゆくのです。書き手の個性がよくあらわれる部分でもあり、また物語をわかりやすいものへともしてくれるのです。
 ただ、こういったフレーズの長所は全二話という短さの中でとてもよくあらわれているのですが、それによって作り上げたコミカルな部分とストーリー面がうまく噛み合っていない部分も見られます。第二話は主人公の成長物語をメインにしてシリアスな展開をしているからで、少し話を急ぎすぎたんではないでしょうか。


書いた人:S.Saekiid:S-Saeki)