とうかいさん(id:to-kai)の投稿レビュー

初めまして、しがないシナリオ書きのとうかいと言います。
今回、初めてのシナリオレビューという事でムネドキものです。
お題は『晩秋! スーパーロボット大戦祭り』
人のことを言えない腕前ですが、何かの参考になれば……


スパロボ風シナリオとは?
いわゆる『あの作品のキャラとあの作品のキャラが!』という盛り上がりを楽しむシナリオが多いです。
無論、ストーリーが重要ではないという訳ではありません。というよりも、そっちの方がメインで
多作品のキャラクターや設定を使うことで、どのような話を作るかというのが
重要なポイントだと考えています。キャラクターだけを使った劇、という手法もありますが
それはスパロボ風シナリオとは外れるでしょうし、除外します。
最近良くある『オリロボ共闘シナリオ』も、この範疇に入ると考えていいかと思いますが
(少なくとも、根っこにある物は同じだと思います)
今回は、商業アニメやゲームのキャラクターの共闘、という事で。レビュー希望項目に1つありますが
参戦作品を一つも知らないんで……こういうシナリオでは、知っていない作品ばかりだと
プレイする人の評価が下がりがちになります。超マイナークラスだと、逆に興味をそそるようになりますが。
(第二次αの鋼鉄ジーグなんかがその代表例……で、いいのかな?)

今回は、GSCシナリオリンクの[版権巨大シナリオ:スパロボ風]、[各種希望:レビュー希望]の両方の項目に
登録されているシナリオを対象にした、ショートレビューとなります
……もしプレイ逃しがあったら、教えていただければ幸いです……


教導隊列伝(ショウゴさん)
第20話まで
バンプレストオリジナルメイン、作者オリジナル無し

ゼンガー、リューネ、ラミアの3人からなる、『教導隊』(SRWOGの教導隊とは別物)
の戦いを描いています。基本は上で書いたようにスパロボオリジナル、他作品も色々出ていますが
基本的にキャラのみ、という感じで(ムーンレイス等は出てくるけれど)。
目の前の敵勢力をシャドウミラー(残党)やアンセスターと、今のところ絞っているのが幸いしてか
そこまで深く考えずにゼンガー節を堪能出来る(主役3人の中でも出番多し)、というのが大きいです。
個人的に気になった部分と言えば、『またアクセルかよ』というくらい。気のせいかもしれませんが
キャラクターの活躍を見たい、というタイプのシナリオ。インターフェースや演出にも問題は無し
特に主人公3人のキャラが好きな人にはお勧めしても。


スーパーロボット大戦W-VerGP(ウインドさん)
第5話まで
気になる参戦作品は、パトレイバー(未見です……)と、なぜか等身大のエレメンタルジェレイド
作者オリジナル有り。後ろで少し中身に立ち入った所を

SRCでしか出来ないことをやる』とHPに書いてあるが、具体的にはどういう事なんだろうか
現在の所は今一つ見えてきません。クロスオーバーの二次創作ならば何ででも出来るでしょうし。
SRCというのは二次創作の一つの手段ですから、『二次創作で〜』と読み替えてもいいのでしょうか。
以下、単体で気になった項目をいくつか挙げます
・一行ごとに表示されるテロップや獲得イベント表示は表示に時間がかかるので、考えて欲しかった所
・シナリオ中に、キャラクターにチュートリアル台詞を喋らせる事には注意が必要です
 第1話、及び第2話ではかなり違和感を覚えました
 これに限らず、説明台詞が長いように思えます。ある程度簡潔にまとめた方がいいのではないでしょうか
 ある程度ニュアンスさえ掴めればいい、というのまで長々と説明されるのは少し辛いです。
 このあたり、自分も人の事は言えないかもしれませんが……
・作者のオリジナル参戦作品だが、今一つ持て余し気味になっているように感じます。
 今のところは話の中心になっている訳でもないのに、一般パートでの優遇っぷりが大きいような
 そういうパターンは反感を買う場合が多いので、今後はそのあたりを注意するといいかと
 『〜という作品として』という考えもあるかと思いますが、1作品への偏った愛情は、それはそれで……ですし

ラスティ隊のアラドとゼオラ等、いい意味で『気になる』部分もありますが
今の所は未完成な部分が目立つシナリオだと思います。マブラヴがメインで
バリバリに出ているのはあまり見る物でも無いでしょうし、気になるのならば。


SRW AK(くものかなたにさん)
主人公別、第5話まで
作者オリジナル有り、参戦作品はスタンダード

会話インクルードの不備? か、奇妙なウェイトが入っているような感覚が気になりました。
また、レベルアップ時のステータス表示は、設定でオン/オフに出来た方が親切かと
パトレイバースーパーロボット物がメインの『コウイチロウ編』
Z、SEEDの2つがメインになっている『ミコト編』の2つがあります。
今のところ原作再現がメインですが、コウイチロウ編では主人公の絡みが丁度良いくらいです
妙に特車二課に馴染んでる気がします。原作未見なので、見ていた人は違和感を覚えるかもしれませんが
ミコト編の方は、少し好きでは無いなぁ、と。皮肉&説教係になってしまっているので。

コウイチロウ編では、久しぶりに使徒の反則的な強さを目の当たりにして満足です。
ミコト編は現状ではちょっと……と思いました。Zは劇場版も公開されてタイムリーなのですが
全体的に、もう少し様子を見てからという所でしょうか


スーパーロボット大戦PPOI(かえるんるんさん)
第22話まで
ガンダムシリーズを1作品と考えると、参戦作品はそう多くは無い
作者オリジナルは、オリロボ辞典にも登録されている『豪華巨兵ゴージャスダー』

原作再現を微妙に外した展開が続きます、この人選は人を選ぶかも知れませんが
個人的には好み。流れとしてはガンダムシリーズが中心。ファーストとSEEDを混ぜたような所でしょうか
序盤の設定が足を引っ張っているかなという感じはしますが。ジオンとザフトが両方ある意味も、よく分かりませんし。
あと気になった部分は、場所表示の描写に時間がかかるのと、Talkの文章構成
特にTalkは、もう少し丁寧に書いた方がいいと思います。中には画面に収まらず、改ページになっている物もありますし
流石に見づらいので、コレは

もう話も終盤戦ですし、一気に突き抜けて欲しい所です。
この界隈で、ジーンが一番活躍するシナリオでしょう、間違いなく


スーパーロボット大戦ZERO(クロウドさん)
第1話まで
まったく聞き覚えの無い作品が一つ。検索をかけてみたら、90年代頭のOVA作品らしいです。
それ以外はよく見る顔ぶれが。
流石に1話だけでは判断のしようが無い、としか言えません
参戦作品のほとんどが、まだ顔出しすら行っていない状況ですし……


スーパーロボット大戦MD(某たわしさん)
スーパー系リアル系、第3話まで
作者オリジナル有り。それ以外の参戦作品は、スパロボ常連がほとんど

独自システムをいくつか表に出してはいますが、そこまで個性的な物でも無いような。
直接的に戦闘と関わる物でもありませんし、主にPPによる育成に繋がるものですから、話数を重ねていけば大きいかもしれません。
シナリオ自体は順当な『スーパーロボット大戦』という所でしょうか。コメントがし難いくらいに
両方ともまだ第3話までしかリリースされていませんし、判断をするには早いかもしれませんが
現在の所は、文字通りの、可もなく不可もなくという感じです。
特に、独自システムが話数を重ねていかないと目立たないような、育成に関係する物ですし

ルートを2つ以上に分けるというのは、単純に作業量やボリュームを二倍にする物ですから
その分、ストーリーの進行自体は遅くなる……というのは、当然の事です
このシナリオや上の『SRW AK』では、2つのシナリオをザッピングする形式では無いので尚更の事
(ザッピング形式には、桐原ナツキさんの『玩具のモラル』、米屋さんの『蒼龍剣』等があります)
もっとも、2つ以上の話を平行して書きたい、という事もあるでしょうし、微妙な所ですが……


ヨルムンガンド(gaineさん)
第21話まで
作者オリジナルは無し、参戦作品は、ゼノギアスが目立つくらいでしょうか

安心出来るクロスオーバーというか、本家と同じようなスタンダードな展開。
逆に言うと、目新しい部分が無いというのが弱点になるかと。掴みが弱いと言う所でしょうか
独自展開と原作再現のバランスというのは、難しい所です。
戦闘バランスの数値がα以降のように調整されているので、そっちで慣れた人には
馴染みやすいかもしれません。自分は今一つ馴染めなかった人間なので、ちょっと……でしたが
また、会話インクルードでパイロット画像を拡張しているのですが、元が32ピクセルの物だと
相当に荒く表示されてしまっているのが、惜しいように思えます。


スーパーロボット大戦 リーンカーネーション(ゾルダストームさん)
第5話まで

比較的丁寧に書かれた2,3,4話はいいのですが(マジンガーZとグレートの共闘手段をああする、というのは思いつきませんでした)
作者オリジナルが絡んでくる1,5話が少し……と思いました。
オリジナルキャラに匿名掲示板ネタの話をさせたり、いわゆる『楽屋オチ』をやらせたりというのは
ギャグシナリオでないのならば、相当に好き嫌いが分かれる所なので、注意していただきたいと思います。
上で挙げたマジンガーの話など、気になる所も十分にあるので、そのあたりを丁寧に書いていってくれればと思います


確かに、スパロボ風シナリオというのは初心者の方でも手を出しやすい物ですが
その奥は深いものだと思います。シナリオグランプリ二連覇の『スーパーロボット大戦EOW』など
良作を生み出す余地も十分にあります。

『これからスパロボ風シナリオを書こう!』という人に注意して欲しい部分は、以下の2点が挙げられます

・自分が作ったオリジナル作品をむやみに活躍させない
プレイヤーの多くは、初めは参戦作品を見てダウンロードする訳ですから
その作品が(悪く言えば)踏み台になる、というのは相当悪い印象を受けます。
活躍させてはいけない、という事では勿論ありませんが、場面をよく考える必要があります
版権キャラがピンチの時に颯爽と……! というのは、確かに書きたいものでしょうが
迂闊に行うと、プレイヤーから反感を買うだけですので、注意していただきたい所です。

・グラフィックとプレイアビリティのバランス
プレイアビリティというよりは、『プレイヤーの立場に立ってシナリオを書いて欲しい』という所でしょうか。
これはスパロボ風シナリオに限らず、全てのシナリオに言える事ですね。
確かにインクルードをいくつも組み込んだシナリオは綺麗に見えますが、その反面
既存のメッセージ欄との違いや、インクルードの動作でかかるWaitなど
プレイヤーの方に負担がかかる面があります。そのあたりを考えながら、インクルードの導入を
考えて頂きたいと思います。Talk部分などは常に触れる部分ですから
このあたりは慎重になりすぎてもいいくらいだと思います。

また、それ以外にも『参戦作品の選定』という所もあります。
今回のレビュー作品で、ガンダムSEEDが参戦している物が6作品。うち、G5機奪取場面の再現を
(色々とアレンジを加えていても)行っているのが4作品、タイトルを見て行いそうなのを加えて5作品
流石にお腹いっぱい……といった所です。

版権クロスオーバーシナリオは、オリジナルシナリオとはまた別の面白さと難しさがあります。
そんな事書いておきながら……という所もある為、自分も精進しなければ


書いた人:とうかいid:to-kai)